仕事と誇り(3)
「仕事に誇りをもつ」といえば、
イソップ寓話の3人のレンガ職人が有名です。
中世ヨーロッパの町で、旅人がある町を歩いていると、
汗をたらしながら、重たいレンガを毎日運んでは積む
3人のレンガ職人に出会いました。
旅人は「何をしているのですか?」と尋ねると、
3人のレンガ職人はそれぞれ次のように答えました。
1人目は、
「見ればわかるだろう。親方の命令で“レンガ”を積んでいるんだ!」
「毎日、暑くて大変だ」と答えました。
2人目は、
「レンガを積んで“壁”を作っているんだ」
この仕事は大変だけど、給与がいいから今だけやってるんだ!」と答えました。
3人目は、
「後世に残る“大聖堂”を造るために、レンガを積んでいるんだ!
「こんな仕事に就けてとても光栄だよ」とこ答えました。
3人はそれぞれ「レンガを積んでいる」という仕事内容と役割で、
給与はほとんど変わりません。
しかし、「働く意識」と「目的意識」がまったく違います。
1人目のレンガ職人は、
言われたから、言われなければやらない。
夢や希望、志などの使命感はまったくありません。
「作業」としての仕事、労役としか感じていません。
2人目は
「お金」を稼ぐために働いている。
一番お金になる仕事はどれだろうか、と日々考えていることでしょう。
3人目は、
「後世に残る歴史的事業に参加して、町中の人に喜んでもらう!
と、明確な目的と「誇り」を持って働いています。
100年以上先の未来のこと、子供たちのこと、
これまで築いてくれた先祖のこと。
完成する“大聖堂”建設のために仕事を、自身が生きている「誇り」と思っています。
さて質問です。
もし、あなたが家のリフォームをお願いするとしたら、
「3人の担当者、誰に頼みますか?」
おそらく、3人目の担当者にお願いしたい、また3人目の担当者がいる会社、
そういった理念をもった会社に依頼したい、とほとんどの人が思います。
仕事というのは、人に価値を与えるものです。
また、喜んでもらうためには、私たちの仕事への「誇り」があり、
初めてお客様に認められます。
そして我々大人が、
現場で携わる私たちが。
現場でつくりあげる職人さんが。
事業を営む経営者が。
日々、仕事に誇りをもち、
「この仕事やってよかった!毎日が楽しい!」と、イキイキと仕事をしていれば、
共に働く若い人や、その姿を見ている子供たちが
「この職業に就きたい!この業界に入りたい!」と憧れます。
リフォーム営業、設計士、プランナー、管理、大工さん、電気工事やさん、水道やさん等々、
子供たちがなりたい職業TOP10に携わる方々がランクインできるよう、
地域で、会社で、業界で。
経営者として自身できることを伝え続け、
行動し続けたいと思います。
ちなみに、イソップ寓話の10年後のお話です。
1人目は、
10年前と同じように文句をいいながらレンガを積んでいました。
2人目は、
レンガ積より、危険はあるけど給与の高い仕事に就きました。
3人目は、
「誇り」ある仕事が認められ、その他様々な建築現場の施工管理者として施工を任され、
当時の施工を行った大聖堂には、彼の名前が付けられました。
(イソップ寓話より)